医師臨床研修制度とは、大学医学部を卒業して医師国家試験に合格した医師が、その後、大学病院や臨床研修指定病院にて2年間以上の臨床研修を実施することであり、平成16年より診療に従事する者はこの研修が必修化されました。
下記が厚生労働省のホームページの掲載されているわかりやすい図です。
厚生労働省ホームページより
http://www.mhlw.go.jp/seisaku/2009/08/04.html
この医師臨床研修制度があらたに制度化された大きな理由の一つが、従来から臨床研修制度はありましたが、大学卒業後はすぐに自分の進みたい専門科目の研修を受ける医師が多く、幅広いプライマリケアの能力がない医師が多くなっていたことが問題化していました。そこで、医師臨床研修制度の中に、幅広いプライマリケア診療ができるプログラムが組み込まれました。
また、従来の研修医制度では大学に「無給」で診療しながら研修を積む医師が多く、生活のためには他の病院でアルバイトをする必要がありました。この状況もある程度改善できるように、医師臨床研修制度では研修医に対してある程度の給料を病院側から支払うような体制になっています。
一方、この平成16年から始まった医師臨床研修制度によって新たな問題も顕在化しました。
それまでは、大学医局に残る研修医が圧倒的に多かった為に、教授を頂点とした医局が大きな力を持っていました。よって、関連の病院に「医局人事」という制度のもと、若手の医師などを派遣しており、医師からは人気のない地方病院にもまんべんなく医師を派遣していました。しかし、大学に残る医師が少なくなり、それによって医局は大学病院に残る医師を最優先に確保する必要があるために、地方病院から医師を引き揚げる傾向が強くなりました。これによって地方の病院は「医師不足」に悩まされることになってしましました。
また、この頃より医師を病院に紹介する有料職業紹介事業を行う会社も多く現れてきました。
もともと、前述したように病院側は医局からの医師派遣に頼っていたために、医師を自分の病院に呼ぶ努力もしたことがなく、その方法もわかりませんでした。また、医師側も自分で働く病院を探す行為自体は先輩医師からも教えてもらうことができない、という他の業界からすると特異な状況でした。その架け橋をするのが有料職業紹介事業者です。現在は、医師の職業紹介もスタンダードなサービスになってきています。