抗がん剤とは、がんなどの悪性腫瘍の増殖を阻止・消滅させることを目的とする薬物。
直接細胞傷害作用を示す薬剤(狭義の抗がん剤)と,宿主の免疫能を充進させる薬剤(免疫賦活剤)等がある。 前者のうち,例えばアルキル化剤は遺伝子DNAにアルキル基を付加することで細胞分裂を阻害する。代謝措抗剤は生体反応の代謝物や核酸に類似しているので,誤って細胞内に取り込まれて細胞分裂を止める。抗生物質はカビなどが産生する物質でDNAの二重らせんの間に架橋し,分裂を阻止するものが多い。 また後者としては,免疫理論を応用した免疫抑制剤やインターフェロン系などがある。 副作用としては,分裂の盛んな骨髄,消化管上皮,毛嚢の正常細胞にまで作用してしまうため,骨髄抑制,悪心,嘔吐,脱毛などが生じる。 抗がん剤は重大な副作用を起こす場合があり,死亡例も報告されている。抗がん剤治療では,しっかりとした設備のある施設において,がん化学療法に習熟した医師が,適応患者を適切に選択し,患者に有効性および危険性等の説明を行い同意を得て,患者の状態を勘案し,レジメン等を的確に運用することが大変重要である。