障害者自立支援法とは、障害者が,その能力や適性に応じて,自立した日常生活や社会生活を営むことができるように定められた法律。
2006年4月施行。障害者の地域生活と就労を進め,自立を支援する観点から,これまで障害の種類ごとに異なる法律に基づいて提供されてきた福祉サービス,公費負担医療等について,共通制度のもとで一元的に提供する仕組みを創設したものである。
サービスは,「自立支援給付」(個々の障害者の障害程度区分等に応じて個別に給付される①介護給付,②訓練等給付,③自立支援医療費,④補装具など),
「地域生活支援事業」(市町村や都道府県が行う①相談事業,②日常生活用具の給付・貸与,③移動の支援など)-一に大別される。
自立支援給付のうち,①介護給付,②訓練等給付等については,別に規定された「単位数表」によって費用の額が定められており,サービス提供事業者はその単位数表に基づいて請求する。
また,③自立支援医療費は,かつての精神通院医療(精神保健福祉法),更生医療(身体障害者福祉法),育成医療(児童福祉法)-という3つの公費負担医療制度を一元化したもので,対象疾病や治療範囲は従来と同じである〔→自立支援医療〕。給付は介護保険や医療保険が優先的に適用され,自己負担は原則1割。所得に応じて自己負担限度額が設定されている。したがって,介護保険や医療保険により9割もしくは7割が優先的に給付され,自己負担限度額内であれば1割が自己負担,医療保険においては残る2割分か公費負担となる(1割の自己負担額が自己負担限度額を超えた場合,その超過分は公費負担となる)。同法に対しては障害者切り捨てとの批判も強く,2009年に誕生した民主党政権は同法の廃止を公約に掲げていたが,同法の名称変更(障害者総合支援法)と内容見直しをもって事実上の廃止とみなすとしている。